こたつ恋

3/16
前へ
/16ページ
次へ
 それも面倒だと言えば面倒だけれど、彼から私への素直で直接的な愛情表現も極めて激しく、一方的に愛情を求められているわけではない。  そして、その彼からの判りやすい愛情表現のおかげで、恋人として自信を持ち安心できている面もあり、その安心感をお返しする意味で私も頑張っていた。 「どもです」  彼がそう言いながら、腰を下ろした。  その場所が私の真後ろであり、私の体を両足で挟む形で、私の背中にピッタリくっつく格好だったため、苦笑。 「ちょっと、あーちゃん」 「え、何?」 「何じゃないよ、もー」 「いーじゃんいーじゃん。気にすんなって」 「なるよ」 「ならないならない。ほら、仕事頑張って」  テッキトーな調子で軽く言いながら、ぐいぐい体を押し付けてくる彼。腕を前に回して、私のお腹の前で交差させる。  後ろから私の肩に顎を乗せて、 「早く終わらせてー」  呑気なことこの上ない。  若干、イラッとする。  そのせいでか集中力も薄れ、それがこたつの熱さのせいにも思えてくる。  掛け布団の中にある調整スイッチを手で探り、設定温度を低くした。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加