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「ねえ、どんなメロディならこのことを思い出せると思う?」 「『グァッグァ』はどうかな。この辺はガマの油で有名だから。」 「始まりはどう?」 「『チャンーチャンチャンチャンー』でどうかな?」 「その前はどのようにつながるの?」 「うーん、何かジャズの即興みたいのはどうかな?」 「「グァッグァ』の後はどう続く?」 「『タタタ、ターンターンタタタタターンターン』」 「歌になりそうね、この調子で歌詞を決めましょう?」 などなど。 またある日のこと。 「私あなたのこと知りたいの。あなただいぶ落ち込んでいるように見えるけど、なんでそんなに落ち込んでるの?」 「僕の母親が死んだんだ。」 「どうして?」 「父親が言うには、自律神経失調症によるうつ病で自殺したらしい。」 「一体何があったの?」 「僕、ちょっとした合唱団に所属していたんだ。そこにきになる女の子がいた。そのこと他愛もない会話をした後、急に不安になって、家に何度も電話したんだ。そしたら母が僕の部屋まで新幹線でやってきて、僕を家に連れ帰った。僕はしばらく混乱していた。ある夜、父親が、母がトイレのために下の階言ったっきりしばらく戻ってこないと言って、僕を起こしに来た。そのうち親戚が集まってきて、母は井戸の中で見つかったんだ。」     
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