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アキは急いで矢代に乱された衣服を整え部屋を後にした。
オートロックの扉は無機質な音を立てて閉まり、
それが矢代との決別の瞬間に思えた。
静まり返った長い廊下をぬけ、
エレベーターに乗る。
デザインカットされた鏡に映る自分の顔が、
まるで発情した動物みたいだと思った。
オスを誘い入れるために尻を淫らに赤く膨らませたメス猿のような、
じっとりと欲情を滲ませた瞳――。
(正司さん…っ)
まもなくロビー階につき、
扉が開いた。
深夜でも人がざわついてるのは、
矢代の取材をするクルー達が打ち合わせをしているからなのかもしれない。
「…っ……」
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