第1章

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自己嫌悪から泣き出しそうになる自分を誤魔化し、 アキはラウンジの横を早足で通り過ぎる。 (正司…さんっ) 無性に会いたかった。 あの穏やかな声で 「どうしたんだいアキ」 と、 いつものように優しく抱き寄せて欲しかった。 大好きな温かい手のひらで頭を撫でてくれたらもう、 何もいらない――。 「アキ?」 ラウンジのほうから…声がした。 今まさに思い出していた穏やかなテノール。 「う…そ」
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