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自己嫌悪から泣き出しそうになる自分を誤魔化し、
アキはラウンジの横を早足で通り過ぎる。
(正司…さんっ)
無性に会いたかった。
あの穏やかな声で 「どうしたんだいアキ」 と、
いつものように優しく抱き寄せて欲しかった。
大好きな温かい手のひらで頭を撫でてくれたらもう、
何もいらない――。
「アキ?」
ラウンジのほうから…声がした。
今まさに思い出していた穏やかなテノール。
「う…そ」
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