情熱戦隊シャレンジャー ピンクさんとレッド君の事情

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「それじゃぁ、今日の打ち合わせを始めようか。内容はいつもどおり、シャレンジャーの日常から始まって、ピンクがブラックに攫われるシーンに入る。ピンクはその時、だいぶやられる事になるが、後半の盛り上げの為に大げさに。――最後はレッドがピンクを助けて大団円だ」 操は他のメンバーと共に頷いた。 いつもこんな段取りで演技の確認を行う。ストーリーの流れはもちろん、万一に備え、代替演技の確認などもここでするのだ。 操は赤神の横顔をちらりと覗く。 先刻とは打って変わって、彼はまっすぐな眼差しを牧野に向けている。こうやって、真剣に話を聞く姿はプロのスーツアクターそのものだ。いや、執拗なアプローチさえ除けば、彼は練習にも熱心な礼儀正しい好青年だった。 そんな彼が、どうしてここまで自分に執着するのか。 (――分からない) あの日以来、さすがに懲りて二人だけの個室で練習することは避けてきた。それでもピンクとレッドの絡むシーンは多いから、テーマパーク併設のスタジオでは一緒に練習を重ねてきた。 認めるのは癪だったが、赤神との演技はやりやすかった。長年のパートナーのように息が合うのだ。まるで昔からずっと一緒にやってきたかのように、ごく自然に。 ――何だかんだで、演技の相性はいいのかもしれない。 そう思った途端、口腔を犯した赤神の舌の温度を思い出し、人知れず手を握りしめる。 (何を考えているんだ、僕は) 操は振り切る様にミーティングに集中した。
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