情熱戦隊シャレンジャー ピンクさんとレッド君の事情

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セリフに合わせた演技の確認、それぞれのシーンに組み込むアクロバット。一通りのミーティングと演技合わせを終えると、ちょうど時間は定刻の三時をむかえる。外から聞こえる観客のざわめき声が、ひときわ大きくなった。 間もなくショーは開演だ。 牧野が開演の合図を伝えるように、二回手を叩いた。 「赤神君の初舞台、みんな気をひきしめてやる様に。それじゃぁ、ヨロシク」 メンバー全員で「よろしくおねがいします」と声を合わせながら、手を重ねる。操はメットを被ると、他のメンバーと一緒に表ステージへと掛け出した。 『愛と茶の間のヒーロー! いよいよ、シャレンジャーの登場だ!』 まぶしい日差しがメットの中まで射し込む。 MCのかけ声を皮切りに、観客が一斉に盛り上がる。 ステージの中央まで駆けつけ、操はいつもの様にシャレンジャー五人で決めのポーズをとった。 メット越しの視界は極端に狭くなる。それでも小さなそこから、いつもの風景が見渡せた。扇型の観客席は後方まで満席だ。 操は助走をつけ、観客席に向かって側転宙返りを披露する。手を着かずにくるっと回る側転に、わっと歓声が湧きあがった。
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