情熱戦隊シャレンジャー ピンクさんとレッド君の事情

16/177
前へ
/177ページ
次へ
レッドがブラックの手下を蹴散らしていくシーンは、ロンダードからの後方倒立回転、最後にテンポ宙返りの合わせ技があてられ、難易度の高いアクロバットが要求されるからだ。 長年体操に勤しんでいなければ、殺陣と併せてその技を綺麗にこなすのは難しい。 シャレンジャーのメンバーで戦闘員を二分したところで、レッドがメインの殺陣に突入する。 赤神は五人の戦闘員の方向へ向かって助走をすると、身体をしならせ、地面に手をつき、後方へ一回転する。その後、手を着かないまま後方の回転が四回。 彼は殺陣をこなしながら、一連の技を華やかにやってのけた。 (その回数を連続でやるのか。……しかも完璧きだ) リハーサルでは二回の宙返りが課題だったが、それがもう二回追加されている。 大学時代に体操部の主将を務めていた操は演技にはうるさい。けれど、そんな操からみても赤神の動きには無駄がなかった。 練習以上の演技に魅入っていると、隣に着地した赤神がメット越しに小声で話しかけてくる。 「俺、ピンクさんのこと諦めませんから」 その余裕は実力の裏打ちなのか。 赤神の演技に見惚れてしまった事がなんとなく癪で、操はメットから睨みつけた。 「僕にその気はない」 ――が、言い切った途端、赤神に腕をがしっと掴まれる。 予定外の行動に、頭が真っ白になった。 「ピンクさん、そんな事言わないでください!」 (何をやっているんだ!?)
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加