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レッドがブラックの手下を蹴散らしていくシーンは、ロンダードからの後方倒立回転、最後にテンポ宙返りの合わせ技があてられ、難易度の高いアクロバットが要求されるからだ。
長年体操に勤しんでいなければ、殺陣と併せてその技を綺麗にこなすのは難しい。
シャレンジャーのメンバーで戦闘員を二分したところで、レッドがメインの殺陣に突入する。
赤神は五人の戦闘員の方向へ向かって助走をすると、身体をしならせ、地面に手をつき、後方へ一回転する。その後、手を着かないまま後方の回転が四回。
彼は殺陣をこなしながら、一連の技を華やかにやってのけた。
(その回数を連続でやるのか。……しかも完璧きだ)
リハーサルでは二回の宙返りが課題だったが、それがもう二回追加されている。
大学時代に体操部の主将を務めていた操は演技にはうるさい。けれど、そんな操からみても赤神の動きには無駄がなかった。
練習以上の演技に魅入っていると、隣に着地した赤神がメット越しに小声で話しかけてくる。
「俺、ピンクさんのこと諦めませんから」
その余裕は実力の裏打ちなのか。
赤神の演技に見惚れてしまった事がなんとなく癪で、操はメットから睨みつけた。
「僕にその気はない」
――が、言い切った途端、赤神に腕をがしっと掴まれる。
予定外の行動に、頭が真っ白になった。
「ピンクさん、そんな事言わないでください!」
(何をやっているんだ!?)
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