情熱戦隊シャレンジャー ピンクさんとレッド君の事情

17/177
前へ
/177ページ
次へ
流れでブラックにピンクが攫われるシーンへと突入し、操は無理やり演技を合わせた。ブラックとレッドの両方から取り合う様に腕を引かれ、スピーカーから響くアテレコの台詞に紛れて叫ぶ。 『助けてレッド!(助けなくていい!)』 『おい、レッド、いつもの勢いはどこにいったんだ?(お前、操に近寄るな!)』 『ブラック! ピンクを返せ(俺のピンクさんの手を放せ!)』 『助けて! レッド!(助けてくれ、黒宮!)』 操は観客には分からない様に黒宮の方へと寄る。どちらが敵なのか分からなくなった状況の中、間一髪ブラックに連れ去られるシーンに突入する。 『ふははは! 再びピンクはもらっていくぞ』 黒宮に抱きかかえられながら、ステージ裏に運ばれていく。そこまできて、操はようやく安堵のため息をついた。 (絶対に、許さないからなっ) あれだけ釘を刺したのに、彼はいったい何を考えているのだろう。 それからショーは台本どおり終盤へと突入したが、黒宮演じるブラックがレッドに対してだけは容赦がなかった。本気の黒宮との殺陣に余裕を削がれたのか、それから赤神が予定外の行動をとる事はなかった。 しかし、いつもより白熱した二人の演技は観客を盛り上げ――、新任レッドの初舞台は、良くも悪くも大声援で幕を閉じたのだった。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加