情熱戦隊シャレンジャー ピンクさんとレッド君の事情

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「そういえば、アクションはどこで学んできたんだ」 「東京のアクションスクールに通っていたんです。空手やカポエラとか、どちらかというと武術を中心のコースで」 「アクロバットの方は」 「それも同じところです。たまたまそこに精通した講師がいて――」 それからしばらく演技の事について、操はあれこれと訊ねた。 今日の公演もそうだったが、数年で身に着けたとは思えない程、彼の演技はレベルが高かった。どこでどう身に着けたのか、少し興味があったのだ。 話も盛り上がってきたころ、ふと壁の時計を見上げる。 (もうこんな時間か) つい夢中になっていたが、時計の針は二十三時を回っていた。 「遅くまですまない」 操はのろりと立ち上がった。 「ピンクさん、あの、」 赤神はまだ何かを話したそうだったが、明日は午前にリハーサルを控えている。互いに早く休んだ方がいいだろう。 「そろそろ時間だから、僕は戻る」 料理をありがとう、そう言って背を向けた時だった。 突然、赤神の手に腕を掴まれ、身体を引き寄せられる。何が起こったか考える間もなく、強引にその胸の中に抑え込まれた。逃れようと身を捩ったが、その抵抗は無駄に終わった。彼はこういう時の抑え込み方を熟知している。 「……どういうつもりだ」 後ろからすっぽりと抱きしめられた体勢の中、操は低い声で憤りをぶつけた。
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