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とある平日の午前七時過ぎ、覆面をした二人組が入店した瞬間、その場の空気が変わった。コンビニにいた客の視線が彼らに集中する。
「全員静かにしろ!」
大柄で銃を持った覆面男の方が荒々しく叫んだ。
一時の沈黙が店内を支配する。しかし状況を理解した店員と客は叫んだ男の命令に従わず、各々大きく声を上げた。
「黙れ!」
男は再度叫び、入り口付近の陳列棚を蹴った。商品が床に散らばる。近くにいた子供が驚いて「ひゃあっ」と短く悲鳴を上げる。男は舌打ちをして子供を睨んだ。
すると一人の女性が子供の盾になるように、男と子供の間に割って入った。
「愛お姉ちゃんっ」
先程とは打って変わって店内は静かになる。
子供に「愛お姉ちゃん」と呼ばれた女性は男から目線を外さずにゆっくりと口を開く。
「子供には手を出さないでください」
「この・・・」
「まあまあ、落ち着けよ田中」
覆面をしたもう片方の男が間に入った。
「わかったよ」
田中と呼ばれた男は注意されたことに対して再度舌打ちをしながら、腹いせなのか銃で棚の商品をがらがらと床に落とし始めた。
「おい、店員は全員レジから出ろ! 客もだ、こっちに来い! 妙な素振り見せたら撃つからな!」
今度は全員が大人しくその命令に従った。
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