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いつもなら自宅アトリエで一日数時間、
全裸で立たされる。
いろいろな角度からいろいろなポーズをデッサンし、
それは彼の頭の中に完璧な立体像が浮かび上がるまで続く。
プロのモデルに依頼した場合は、
ここまで長時間つき合わせたりしないそうだが。
『恋人をモデルに出来る芸術家の強みだからな』
と。
あの顔で嬉しそうに微笑まれたら、
―――お手上げだ。
そんな彼が今回は一度もデッサンの依頼をしてきていない。
(まさか別のモデルを――?)
ザワザワと胸の奥がざわめきだす。
不安と。
嫉妬と。
猜疑心。
やはりこのカラダに飽きられてしまったのだろうか。
彼の目にはもう魅力が感じられないのだろうか。
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