第1章

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いつもなら自宅アトリエで一日数時間、 全裸で立たされる。 いろいろな角度からいろいろなポーズをデッサンし、 それは彼の頭の中に完璧な立体像が浮かび上がるまで続く。 プロのモデルに依頼した場合は、 ここまで長時間つき合わせたりしないそうだが。 『恋人をモデルに出来る芸術家の強みだからな』 と。 あの顔で嬉しそうに微笑まれたら、 ―――お手上げだ。 そんな彼が今回は一度もデッサンの依頼をしてきていない。 (まさか別のモデルを――?) ザワザワと胸の奥がざわめきだす。 不安と。 嫉妬と。 猜疑心。 やはりこのカラダに飽きられてしまったのだろうか。 彼の目にはもう魅力が感じられないのだろうか。
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