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そんな二人が――。
互いの首に下がる学校名の明記されたパスによってようやく、
個人認識されたのだ。
講師仲間の話で四つ年上と聞いていたが、
長谷川の思っていたイメージと違い香曽我部はヒョロリと長身の、
まだ学生のような若々しい青年だった。
だが、
歳に見合った落ち着いた物腰と話す声のトーンに、
そばに居て安心できる人だと思える。
笑うと少し垂れた目元にシワができ、
さっぱりとした印象の顔立ちをほんのり甘くする。
だからよけいに初対面でも話しやすいのだろう。
「長谷川君。
秘密じゃなかったら教えて。
次の作品のモチーフは何?」
「はい。
『愛』 を」
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