第1章

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そんな二人が――。 互いの首に下がる学校名の明記されたパスによってようやく、 個人認識されたのだ。 講師仲間の話で四つ年上と聞いていたが、 長谷川の思っていたイメージと違い香曽我部はヒョロリと長身の、 まだ学生のような若々しい青年だった。 だが、 歳に見合った落ち着いた物腰と話す声のトーンに、 そばに居て安心できる人だと思える。 笑うと少し垂れた目元にシワができ、 さっぱりとした印象の顔立ちをほんのり甘くする。 だからよけいに初対面でも話しやすいのだろう。 「長谷川君。 秘密じゃなかったら教えて。 次の作品のモチーフは何?」 「はい。  『愛』 を」
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