第1章

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タイトルは――『接吻』―― 「素晴らしい…作品ですね」 「そうだね。 さすが、 神の手を持つ男。 オーギュスト・ロダンか…」 天才達の残した作品を前に、 二人は揃って感嘆のため息を漏らす――。 「…貴弘…」 「タカヒロ?」 「あ…すみません。 なんか急に恋人に会いたくなっちゃって」 「こらこら。 今は一応仕事中だよ」 「…はい」 「でも…いいね。 そういうの」 ニッコリと香曽我部が笑いかける。 長谷川は頬を赤らめながらも、 しっかり、 はい。 と返事していた。    ※ ※ ※ 「え? 俺が香曽我部さんのモデルに?」 「そう。 嫌?」 「えっと…」 「キミの知らないキミを、 描き出してもいいなら。 だけど」
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