第1章

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感覚で分かり合える。 その一言で言ってしまえば簡単だ。 でも、 それだけでは明らかに説明不足だった――。 言葉の端に乗せた感情のカケラを。 作品の中に塗りこめた想いの景色を。 寸分違わず理解し合えるこの喜びを。 どうしても――分ち合いたくて。 「それで、 どうしましょうか。 香曽我部さん」 「服を脱いで、 その椅子に座ってくれる?」 「…はい」 深夜の油彩科棟。 香曽我部に呼ばれたのはこの学校にしてみれば小さめの部屋だ。 が、 二人だけの教室は長谷川にはやけに広く感じた。
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