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香曽我部が座る位置から三メートルほど先に普段からモデルが使うための椅子が用意してあり、
傍らには目隠し用のついたてとガウンが掛けられている。
「なにか音楽でもかける?」
「香曽我部さんの好きなように…してください」
ついたての陰で衣服を一枚づつ脱ぎながら、
長谷川は緊張を誤魔化そうと、
つい、
いつもより大声で話していた。
「ふふふ。
そう初心な反応されるとコッチが意識しちゃいそうだよ。
――徹君」
「――すみません」
「敬語はいらない。
キミは恋人と一緒に居る気分にならなきゃ」
香曽我部が長谷川をあえて名前で呼んだのにはその意味合いがあってのことだったが、
少々的を外れていることが、
かえって長谷川をリラックスさせる要因となった。
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