出会いは苦いカフェオレと

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4月中旬 俺が店長になって、初めて雇ったバイトが葛城だ。 おどおどしてると思えば、受け答えはしっかりできる。 近くの高校の、2年生。 高校までは電車通学らしい。 見た目もまあまあ、ちょうど良いかと採用にした。 しかし、おっちょこちょいを絵に書いたような娘だ。 なにかやらかした後は決まって、 『しまった、見つかった! こっそり片づけたかったのに』 と、顔に書いてあった。 「あのっ て、て店長すみませんでした。以後気をつけます」 テーブルから下げてきたグラスを乗せ、トレーを持ったまま頭を下げようとして、なにもないのにつまずいた。 あっ トレーに乗っていたグラスが飛んだ。 放物線を描き、グラスの水は揺れながら向かってくる、が、時すでに遅し。
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