願い事は何

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「そうだよ、おばちゃん」 おばちゃん? 一瞬、間を置いて「叔母ちゃん」と頭の中で変換される。 「うちの弟の子なんだけど、私、昨日、帰ってきたばっかりだから、普段は全然分からなくて」 自分と同じ三十三歳の彼女はもはや「叔母ちゃん」どころか「伯母ちゃん」なのだ。 「私は子供どころか相手もいないのに、弟の所はもうすぐ二人目が生まれるって」 あれ? 実紗ちゃんは確か他県に就職して、六、七年前にそこで結婚したのではなかったか。 自分も当時、別れた妻と婚約中で母からその話を聞いたのだ。 「俺も、そんな感じだよ」 彼女はまた驚いた風に目を見張る。
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