願い事は何

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「一緒に遊ぼうよ!」 幼い少女の声に少年は列を飛び出す。 キャメルのコートの彼女もそれに続いた。 「いいのかい?」 寒い中、せっかく並んだ初詣の列なのに。 「私はもう、神頼みはいいかな」 空を見上げて彼女が笑う。 そこで、今日はこんなに青く澄んだ、高い空だったと改めて気付く。 「足元に気を付けなよ」 前を小走りに駆けていく幼い二人に声を掛けつつ、自分と彼女は知らず知らず肩を並べて歩き出していた。(了)
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