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「おばあちゃんのうち、もうやだ」
姉の夫が海外に長期出張したために秋口から姉は子連れで里帰りしてずっと実家にいた。
だが、五歳のこの子にとっては飽くまで「おばあちゃんのうち」で「我が家」ではないのだろう。
「帰るのやだ」
自分も一人になった部屋で鬱々としているのが嫌で、年末は早々に実家に帰省して、今はこの子の世話すら持て余して、行くも帰るもならない。
「あっ、マナちゃん!」
不意に背後で声がした。
参拝待ちの列に紺のフリースを着た五歳くらいの男の子がいる。
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