第二話 妖怪九尾狐はうちの学校で噂の教師が気になるそうだ

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他の生徒が古文の読み取り作業に入ると、三澄さんのところに渡村先生と呼ばれた男が教えに向かった。机の横に立ち、資料集に指を指し、解説をし始めると、三澄さんの顔が梅干のように真っ赤になり、表情があやふやになってしまってる。これが人気の理由、国語の担当の先生が...一言で言えば美形なのだ。 「大丈夫?顔が赤いよ?熱があるなら保健室に行きなさい、僕は無理する人が苦手でね。連れてってあげようか?」 本人は無意識なのだろう、顔を近づけてしまってる。周りの女子達が悲鳴を、男子は歓声を上げる。三澄さんは限界だったのだろう、顔がどんどんと赤くなり、熱を増していく。 「しっかり捕まってて」と言って肩に手を回す。「はうっ」と変な声が漏れる三澄さん。なんか三澄さんもうそろそろヤバい!ヤバいから早く連れてってあげて!三澄さんハアハア言いすぎて酸欠で死ぬから早く連れてって!顔赤いし!渡村先生微笑んでないで早く連れてってよ! 先生は三澄さんを抱えて保健室に連れてった。教室からいなくなると、他の生徒達がざわつき始める。 「やっぱ渡村センセヤバイわ!」 「ね!ね!私1回先生の下駄箱にラブレターを入れたの!」 女子達が興奮して話をしている中、男子達は不満そうな表情をしていた。「高校生とは青春時代なのだから、生徒同士の恋愛は当たりまえだ。」というお母さんの話を思い出した。恐らく男子達はあの渡村先生に対して恨みや嫉妬とかを抱えてるのだろう。中には付き合ってた女子が渡村先生の事が好きになって縁を切られたという人がいる。     
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