第二話 妖怪九尾狐はうちの学校で噂の教師が気になるそうだ

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さっきまで一緒にいた三澄さんはいなかった。保健室に連れてったようだった。 「三澄さんならいます保健室で休んでるけど、じきに治るよ。さ、作業を続けて。」 要は「心配しなくてもいい」ということだろう。いや、私は三澄さんの心配よりも貴方のいろいろが気になるんですけど。 授業が終わり、渡村先生は教室を去った。いやただ去った訳じゃないが。女子達の熱い視線と男子達の睨むような視線に気づいたのか、振り向いて手を振って微笑んだ。嗚呼、眩しい...下手したら失明しそう。「キャー!!」という女子の黄色い声援が廊下まで響き渡る。そして渡村先生は教室を去った。背を向けた時、私はふっと渡村先生の今までには見ない表情を見た気がした。疲れているように見えたのは気のせいなのかな...。 4時間目は自習だった。自習とはいえ見張りという名の教師がいないため、当然教室は荒れる。しかし国語の後となると、自然と教室の中で男子と女子にわかれるのだ。廊下側には渡村先生大好き女子が溜まり、窓側には渡村先生嫉妬男子が溜まるのだ。そしてどちらでもない私はぽつんと真ん中の自分の席にいるのだ。どっちに入ってもどうせ追い出されるだろうな...悲しすぎる。     
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