第一話 実家の自室の窓から入ってきた阿呆狐

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呆れながらワイシャツを見ていると、女子更衣室に誰かが入ってきた。扉の開閉音がした方を見ると、そこにはいつも見る女子リーダー(的な人)が入ってきた。しかも後には信者みたいにぞろぞろと他の女子も入ってきた。このリーダーみたいな女子、実はヤバい人なのだ。名前は"逢沢梨奈(アイザワリナ)"、両親はテレビに出るほど有名なシェフで、家も豪華なお屋敷、つまりこの人はいわゆる"お嬢様"なのだと。入学してきて私と比べられ、「貴方はつまり貧乏家族の娘ってことかしら?あ、それとゴミ屋敷に住んでる迷惑な人かしら?」といい放たれた。周りも私に不満があるらしく、逢沢さんの意見に賛同してしまう。あまりそんなことは気にしていない。だがこれだけは言おう、私の家族は貧乏ではない、ましてやうちの神社はゴミ屋敷でもない。 「御機嫌よう、月乃さん。」 「どうも、お嬢様。」 「あら、可哀想に、そのシャツ誰に汚されたのかしら?」 「誰だろうね。」 「教えてくれたっていいじゃない、私がそのシャツ洗ってあげるから、ね?」 「もう授業始まりそうなのでほっといてください。」 私はさっさと体育着に着替えて、さっさと女子更衣室を出ようとする。 ...扉を開けようとした時、誰かが私の腕を掴んだ。掴んできた手は扉を開けさせてくれない。恐らく逢沢信者の一人だろう。 「何なのその態度!梨奈お嬢様が嫌いなの?」 「離してって、授業に遅れるって!」 掴んだ腕を振りほどいて、扉を開け更衣室を出る。呆然と立ち尽くす逢沢信者逹。ちなみに振りほどく時の腕の力が普通の人より強すぎるらしくて、下手すれば投げ飛ばされそうになってしまう人もいるらしい。まあ...しきたりの厳しい家に住んでればそうなる人だっているんだ、しょうがない。     
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