第三話 大木で待つ貴方、悲しき君の面影

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殺された?一体誰に?というより、1番機になってしまったのは、その愛する人だ。なぜかそっちが気になる。 「...愛する人って?」 アホか私は。何そっちを聞いてるんだよ。まずなんで殺されたか聞くべきだろ。なんで恋人聞き出そうとしてんだ。 「私の...愛する人。とても優しい人だった。もうあの人に会えなくなって1年はたってしまったかしら。まだ1年なのに...まだこんなに苦しいなんて...。」 1年という数字に疑問を持つ。彼女にまだ未練があるなら、たったの1年で成仏できるはずがない。なのに彼女はここにいる。いや、この場所が何なのかは把握していないため、まだそんな疑問を持つのは早いだろう。 「あの、この場所って一体...。」 「あの世とこの世の境目みたいな場所ね。未練が残ると普通はこの世に居続けるのに、私だけこの世界に来てしまった。さっき人を探してみたけど、誰もいなかった。この桜だけは綺麗なのに、何だか寂しいわね。」 ...本当に寂しい場所だ。せっかく大きな桜が美しく咲いているのに、この彼岸花が、周りの多くの枯れ木が雰囲気をぶち壊している。 「せっかくだから、ここに座って話しましょう。誰かと話すのが久しぶりだからね。」 「あ、あっ、そ、そうですね。その方がいいですね!」     
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