第三話 大木で待つ貴方、悲しき君の面影

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何を期待してるんだ私は。まあ、彼女が喜んでくれるならいいし、ゆっくり話を聞いてあげないと。 「それじゃあ失礼します。」 「どうぞ、私も失礼されます。」 この人なんだか優しいなあ。なんかこう、外国人だからちょっともう少し礼儀正しく接した方がいいかと思ったが、そうでも無いみたい。 美人の女性___"渡村ミリア"さんは、一年前からここにいるらしく、彼女いわくこの世界にはミリアさん以外の人間がいないのだという。彼女も彼女で大変だ。 「私、写真持ってるの。ちょっと待ってね。」 「あっ、はい。」 そうだった。私恋人誰かを聞いてたんだった。いや私はアホだよ。なんでそっち聞いたんだよ。ホントアホか。 と、色々心の中で自虐しているとミリアさんはポケットから写真を取り出す。綺麗に四つ折りになっていて、 少しクシャクシャになっている。 「この人よ。付き合って三年ぐらいたった時の写真。彼の実家で写真を撮ったの。」 話を聞きながら写真を見る。その"彼の実家"といわれた広い洋館のどこかの部屋で、二人一緒にソファーに座って幸せそうな笑顔を見せていた。 と、その"彼"の顔を見て思わず凝視した。なぜならその"彼"の顔を知っており、しかも....既に会っている。今も学校でお世話になっている人だから。 「ああああ!!!」     
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