第三話 大木で待つ貴方、悲しき君の面影

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「ど、どうしたの?」 思わず写真を取り上げ立ち上がってしまった。見間違いかもしれないと思い、もう一度写真の男を見つめる。 ...やっぱりそうだ。この男、間違いない。 __渡村・アレン・咲良先生だ。 「あ、あの!この人って、教師をやっていますか!?」 「え、ええ。高校で国語を教えてるわ。」 「やっぱりぃ!!」 「ええっ!?」 当たった。この人、やっぱり渡村先生だ。渡村先生にはちゃんと彼女いたんだ。でもそれだったらなぜ彼女がいるのに渡村先生が女子生徒にターゲットされるようになったんだろう...。 「...アレンはよく女子生徒に狙われやすかったの。どこの学校でも、自分が望んでもいないのに、まるで磁石のように女子達を引き付けてしまうって、よく私に相談していたわ。まあ...アレンが自分からもう既にいるって言わないからかもしれないけど。」 もし本当に「彼女がいる」って言えば、女子達を悲しませてしまう、あるいは、ミリアさんを傷つけるような事件に発展してしまう。そう渡村先生は考えたんだろう。気遣いをしているつもりでも、それでは渡村先生が逆に苦しみ続ける羽目にあってしまう。     
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