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「わりぃわりぃ。失敗した。」
姿がなくても声が聞こえる。ミリアさんを見ると、彼女もキョロキョロしていた。ミリアさんにも聞こえるらしい。
「そんな軽く失敗したなんて言わないで!」
「ま、魔夜さん...。」
「落ち着けって。今戻してやるから待ってろ。」
「早くしてよ!!ホントアンタってやつは信用出来ないし...。」
「魔夜さん!!」
「はいぃっ!?」
怒りのあまりにミリアさんの声が聞こえなかった。突然叫んだミリアさんの声に驚く私。
「その...行ってしまう前に1ついいかしら。」
「はい。」
ミリアさんは立ち上がり、私の右手を両手でぎゅっと握った。やっぱりひんやり冷たい。ミリアさんは私の顔を見て泣きそうな声で言った。
「アレンを...よろしくね。」
それがミリアさんの最後の言葉だった。その言葉を最後に私はまた気を失った。
気がつけば私はベッドの上で眠っていた。掛け布団と暖かい温もりが私を包んでいた。時計は深夜の二時を指していた。ベッドの下に置き手紙があった。
『ちょっと出かけてくる 白夜』
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