第一話 実家の自室の窓から入ってきた阿呆狐

6/15
前へ
/101ページ
次へ
...等、沢山のしきたりがあるが、全部守れると思えば大間違い。こんなに沢山守れるわけがない。とはいえ、神社自体が汚れないように、毎朝起きて掃除をしている。守れないわけではないが、まるで縛られているようですごく辛いのだ。特に、「他の人に助けられてはいけない」ということが、一番キツいのだ。ほんの些細なことあろうと、自分で解決しなければいけないのだ。それほど月乃家はプライドというものがある。本当に大変だ...。 ベッドに寝転がり、ぼーっと天井を見つめる。天井には何も無い。何かがある訳では無い。ただ、それが私にとって違和感があるのだ。 ...普通なら、"変なもの逹"、いわゆる"妖"がたくさんうじゃうじゃといるはずなのだ、この部屋に...。 部屋を見渡しても、何にもない。まさかかくれんぼでもしたいのか?いやいやまさか...。 溜息をつきながらも部屋を探してみる。机の棚を一つ一つ中を確認する。いない。次にカーペットの裏も見る。いない。棚の裏を(怖いけど)見てみる。いない。ドラマのポスターの裏...いない。テレビの中...いない。ハッ、まさかベッドの下!?...いない。次々と部屋の細かいところも見たが...いない。 「...おっかしいなぁ...いつもは私に構ってくるはずなのに...。」 その時、ふっと頭の中で"何か"がよぎった。それが何なのかがわからない。ただ、一瞬もやもやが頭の中を通り過ぎた感じがした。その瞬間自分の体が落ち着きがなくなる。わからないが...変な感じがするのだ。ふっと窓を見る。...やっと原因がわかった。     
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加