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カチッカチッと音がする。白夜がボタンを適当に押しているようだ。先程白夜は「ここを出るには何か条件を探らなければならない」と言っていた。一体どんなものが条件なのかわからないけど...。
「小灯篭持ってきていたらな...見えんのに...。」
それは置いてきたのか!四次元裾なのに!それだけは置いてきたのかよ!!
と、カチッというボタンを押す音とは違う音が聞こえた。まるで何かのからくりが起動するような音だった。
「...何か押した?」
「...わかんねえ。俺今何を押したんだ?」
「私に聞かないでよ...。」
お互い何が起きたのか、一体何をしたのかわからず困惑する。
その時、真っ暗だったエレベーターの明かりが戻った。辺りを見渡せるようになった。しかし何よりも衝撃的だったのが...。
「ひっ....!?」
壁や床に天井に、真っ赤な文字がビッシリと書かれていた。落書きという程度では済まされないくらい。文字の形は、子供から大人まで、いろんな人間の文字が書かれていた。"助けて"とか"死にたくない"などの助けを求めるような言葉、"殺してやる"とか"呪ってやる"などの誰かを恨む言葉が書かれていた。当たりの場の空気がガラリと変わった。涼しいのではなく、寒いという感じの空気になった。
「何これ...。」
「ホントこの病院どうかしてんな...いや、病院に限らずこの街自体がどうかしてんな。」
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