第五話 1年間に何百人死んでると思う?

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「こんなの初めて見るよ...。」 何度かこういうことに似たことは経験している。ただそれらは微弱にしか感じていなかった。それらは"自分には関係ない"と他人面して遠ざけてったものばかり。そして直接関わったとしても、ほんの少ししか感じなかった。いじめから感じる欲と快楽、怒りと恨み。そしてこの街にこびりつくいろんないわくつきのもの。 普段こんなに身近にあったのに、当たり前のように感じていたのに、こんなにも"重くて気持ち悪いもの"だったなんて、知らなかった...。 予想以上の念の重さにガクッと体を崩す。さっきまではこんなこと無かったのに、一気に自分の体に何かがのしかかってきた。 「...おい、大丈夫か魔夜。」 「う、うん、大丈夫...。」 __大丈夫なわけないじゃない。こんな重いもの...。 「お前ん家は神聖なる神社だし、しかもそこの神社の巫女さん候補だろ。だからここで死んでったヤツらはお前に助けを求めてるんだ。」 私に近寄って背中を優しくさすりながら話す白夜。 「でもな魔夜、行方不明者は1年に何十万人いなくなってると思うか?死者も1年間に何百人死んでると思うか?それを人間共は知らん振りしてのうのうと生きている。」     
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