第五話 1年間に何百人死んでると思う?

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「ん?どれだ?」 その文字があるところに近寄る白夜。眉をひそめてじっくりと見つめる。 「...それっぽいな。」 「ね。」 私の考えをわかってくれたようだ。明らかに他の文字とは違う雰囲気を感じる。ドロドロなこの感じ、確かに全身で感じる。 「...ってことは、ここにアイツがいるのは確実か。」 「見たい...ん?」 文字に変化があることに気がつく。"愛してる"という文字が震え始める。やがてグチャグチャになり、形を変え、違う文字に変わっていった。 "先生、あともう少しよ" 「ヤバい!早くこっから出ないと!!」 「わかってるって!!」 マズい、先生の所に来てるかもしれない。早くここから出なければ手遅れになる。そうなる前に...!! ガチャン 「おっ、当たりか!?」 白夜は八階のボタンを押していた。どうやら先生のいるところを押していたようだ。 スーッと気持ち悪い空気がなくなっていく。冷たい空気がだんだんと暖かくなる。気がつけば赤い文字は全部跡形もなく消えていった。まるで全てがなかったかのように。 エレベーターの階数が上がってることに気がつく。どうやら元の世界に戻ったらしい。 「...っだー!!疲れたー!帰りてー!」 「帰んな。」     
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