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顔面近くにある訳じゃないけれど、どんなに塞いでも確実に臭ってくる悪臭に私は毎度鼻がもげそうなほど悩まされ、あげく頭痛まで起こしていた。
「なんでいつもこんなに臭いの?可笑しいんじゃない?」
「んー……ちゃんと洗ってるんだけどなぁ……」
気怠げに答える彼は私のストレートな抗議に反抗するでもキレるでもなく、こたつの魔力に抗えず睡魔に促されうとうととしている。
「洗っててこの臭いって病気?!靴、靴もちゃんと洗ってる?!」
「んー……ブーツだぞ?洗うわけねーじゃん……ふぁぁ……ぁ……」
彼がこたつの中で体を動かす度に中から悪臭が漂い目眩を起こしてしまう。
「うっ!……くっ……さっ!!」
「……ぶへっしゅっっ!!」
私が臭いに悶絶して苦しんでいるのに、彼は生欠伸をした後くしゃみまでかましてきた。
「ずび……んー……なぁ、ティッシュとって」
起き上がる事もなく、床を探る仕種で腕を伸ばす彼。
私は、目の前に置いてあったティッシュボックスを苛立ち紛れに反対側に俯せて寝転ぶ彼へと投げた。
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