プレゼントをまよう

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 街を歩くと注目され、待ち合わせをすると周りの女性がひそひそと彼を見ながら話している、この弟は、弟と言っても血はつながっていない。両親の再婚で、進一が大学生、雅人が高校生の時に兄弟になった彼らは、お互いの領域を侵さないよう気を使いながら、今のところうまくやっているとおもう。雅人が大学生になり、進一が就職した今もときどきこうやって会っている。  今日は、実家に帰ったら、親戚から送られたという蟹を持たされたため、雅人を呼んで二人で蟹鍋をつついた。  蟹の食べ方などよくわからなかったので、ネットで調べたが、よく考えなくても鍋に調理法もなにもない。適当に折った蟹を鍋にぶち込んで二人で無言で食べた。とりたてて話すこともなく、かといって沈黙は苦ではない。そんな感じだったので、蟹鍋はむしろ自分たちにとっては当たりだったかもしれないな、と思った。おいしかったし。  おとうとは鍋を片付けたあとも進一の部屋に居座ってくつろいでいる。この時間までいるということは、今日は泊まるつもりだろうか。 「泊ってくなら、風呂入ったら?」  そう声をかけると、雅人はうん、と頷いた。帰るのが面倒、という程度の理由で、彼はここに泊って過ごすことも多い。  頷いたが、雅人はスマホをいじって立ち上がろうとしない。  進一のスマホがぴこん、と鳴った。  またメールかとおもったら、LINEの通知だった。しかも雅人から。 『進一の誕生日、今月の終わりなんだって』  どういうことだ? と思ったら、雅人は立ち上がってすたすたと部屋を出て風呂に行ってしまった。     
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