プレゼントをまよう

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 誠人だ。  彼も週末は夜更かしをするのだろうか。    しかしそれにしても。 「『何がほしい』って……、どう答えたらいいんだ?」  進一は独り言をつぶやいた。問いかけたい雅人にはもちろん届くはずもなく、シャワーの音が小さく聞こえてくるばかりだ。  誕生日プレゼント、のことだと思うが、そもそもこの年になって兄弟に誕生日のプレゼントを贈るものなのだろうか。  むしろ、この年だから、なのだろうか。自分たちはただ親が結婚して兄弟になった、というだけではない。進一の父はそこそこ大きな会社の代表取締役だ。進一はいちおう、跡取り息子として大事に育てられてきた。そこにするりと入ってきた出来の良いイケメンの兄弟である。進一自身は彼らがいることで自分の立場が危うくなるなどの心配はしていない。接してみるとどこまでもマイペースな奴らだからだ。しかし、彼らはおそらく進一の知らないところで心無いことを言われたこともあったりしたのだろう。     
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