プレゼントをまよう

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「即答だな! ……兄弟だからそういうのわかるのか?」 「……いや、べつに、そういうのじゃないけど……」  雅人は押入れから寝袋を引っ張り出してきた。  もういい時間だったので進一も風呂に入ることにする。誠人にLINEの返事をしていないことが気になったけど、即答するほうがずうずうしいやつだと思われるかもしれないし。 「寒くないか?」 「うん」  風呂から出ると雅人は寝袋に潜り込んで眠りかけている。おとうとにベッドを譲ったほうがいいのかな、と時々思うが、他人のベッドで寝る方が落ち着かないだろうと思ってきちんと申し出たことはない。 「電気消すぞ」 「うん」  雅人は最後まで誰かにLINEメッセージを送っていた。  恋人がいるのだろうか。きちんと聞いたことはないけど、いないほうがおかしいかも、とも思う。  おやすみ、と言って電気を消す。雅人からも小さく返事があった。  プレゼントについては、ゆっくり考えよう。 「……ねえ」  暗闇の中でおとうとの声がする。呼びかけられたようで驚いた。いつも、電気を消したらすぐに眠ってしまって、こんなふうに声をかけられたことはない。なんだかどきどきする。 「……どうした?」     
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