第1章 ふわふわした足元とぬかるみと

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用意したお皿に出来上がった広島焼きをのせると、一つを私の方へ押しやる。 私は黄身を真っ先につぶし、蒼ちゃんは黄身をつぶさないように、そっとお皿の隅によける。蒼ちゃんは、好きなものは後で食べる派だ。 テレビを付けて、二人でなんとなくそれを見ながら私は仕事の愚痴をこぼす。 蒼ちゃんは、テレビを見ているようで聞いてくれているようだ。最後に必ず私の言ったことを要約して、紫がんばってるねと声をかけてくれる。 その一言を聞くと私は、仕事の嫌なことをひととき忘れられるのだ。
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