プロローグ

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 リアンジュナイル大陸より大海を隔て南東にある、ロイツェンシュテッド帝国。魔導を基盤として栄えるその大国の領土面積は、円卓の連合国のそれを凌いでおり、世界最強と名高い連合国に次ぐ強国であった。  領土、人口共に世界最高を誇る帝国が、何故第二位の地位に甘んじているかというと、それは偏に国内の魔法適性者が少ないことが原因である。連合国のあるリアンジュナイル大陸と比べると、帝国が全域を統治するゲルアディオ大陸は神による奇跡の恩恵が少なく、それ故に魔法の才を持って産まれてくる者がほとんどいないのだ。  だからこそ、帝国は魔導を極める道を選んだ。魔導ならば、魔術と違い、魔法の域にも到達し得る。魔導ならば、生まれ持っての才に囚われず、野心のままに磨き上げることができる。そうしてその勢力を膨らましてきたのが、魔導帝国ロイツェンシュテッドだった。  その帝国の軍部に属しているデイガーは、皇帝より直々に呼び出され、王宮にある謁見室へと足を踏み入れた。     
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