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もし少年のあの目がエインストラとしてのものだったとしたら、だからこそあの異形の瞳は、王の本質を見抜いたというのだろうか。あの子は、自身すらも知らない王の核の部分を見抜いたというのだろうか。
「何か心当たりでもおありかい?」
「……いや、なに、もしそれが真実ならば、それはとても尊く運命的なことだなと思っただけだ」
どこか優し気な声で言った王に、老婆は奇妙な顔をした。
「……お前さんが運命だなどと抜かすとは、やれやれ、これは世界の破滅も近いかねぇ」
「縁起でもないことを言わんでくれ。ただでさえ、そんなことは有り得ないとは言い切れなくなってきたところなのだ。とは言え、この地が神の選定を受けて誕生した地であることは事実だ。その地の守護を我々が任されている以上、我々が何かに負けるということはないだろう。すなわち、帝国が我々の手に負えないような脅威の召喚に成功する確率は、限りなく低いと考えられる。それこそ、神が読み違えでもしない限りは有りえないのではないだろうか」
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