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「はっ。私が見たあの金の瞳は、エインストラのものに間違いございません」
はっきりと言い切ったデイガーを見下ろしてから、皇帝は自身の顎髭を撫でた。
「……ふむ。お前はどう思う」
そう言った皇帝が視線を向けたのは、隣で肘掛けに座って退屈そうに足をぶらつかせていた面の青年だ。
「ええ~、僕に訊いちゃうの? 前にも言ったと思うけど、僕はそういう質問には答えられないんだってば」
表情は判らないが、恐らく面の下では困った顔をしているのだろうことは察せられた。
相変わらず、皇帝陛下に対しての口の利き方がなっていない男だ。だが、この男にはそれが許される。何故ならこの男こそ、ロイツェンシュテッド帝国の魔導を著しく発展させた張本人なのだから。
ウロ、と名乗ったこの青年は、十年ほど前に突然帝国に現れた。そして、帝国軍の手練れたちに圧勝することで皇帝の信用を得て、以降は主に軍部の魔導に深く関わるようになったのだ。得体の知れない男ではあったが、ウロは魔法でも魔術でも魔導でもない、不思議な力を持っていた。それにより帝国兵たちの魔導の力を増幅させることで、帝国の魔導は一気に発展したのだ。
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