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その言葉に、デイガーがぎりりと唇を噛む。判ってはいても、あの王には敵わぬとはっきり言われるのは癪に障った。
「あ、怒らないでね。ほら、赤の王様は特別だからさ。あれは君じゃなくったって、誰も勝てないよ」
「……お前はそう、いつもあの小僧を特別扱いする。確かに武勇に優れていることは認めるが、他の円卓の王よりも遥かに高い評価をする理由が判らん」
「うーん。……そうだなぁ、まあ、これくらいなら構わないと思うから言っちゃうけど、……あの王様が、禁忌そのものだからねぇ。そりゃ、敵う筈もないんだよ。逆に言えばあの王様さえいなければもうちょい話は簡単だったんだけど、そうしたらそもそも僕がここに居られないし、まあしょうがないね。という訳で、頑張るしかないから頑張ろうね! 取りあえず、デイガーくんがエインストラの血を持ってきてくれたみたいだし、それでドラゴンが召喚できるかどうか試してみようか。まあ多分それっぽっちじゃダメだろうけど、もしかすると面白いものが召喚できるかも知れないし。さあ! そうと決まったら早速実験だよ、デイガーくん! あ、皇帝陛下ももう話は良いでしょ? デイガーくん借りてくね」
そう言うや否や、肘掛けからぴょんっと飛び降りたウロは、皇帝の返事を待たずにデイガーの手を取って走り出した。
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