第22章 自分の足で立ち上がる

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「…なんか、いつもと違わない?今日の眞名実」 「ええ?そうかな」 笑ってごまかしながらちょっと冷やりとする。変な汗出そう。俯いて急いで自分の皿の残りに集中する。 神野くんは目線をひたとわたしに当てて更に追及した。 「だって、いつもなら僕がこういうこと言うと絶対、話をすり替えて逸らすだろ。一人でも充分作れるよとか、家で作ってみたらとかさ。…なんでそうだね、なんて同意するの?もしかして今、上の空で適当に相槌打った?」 「そうじゃないよ。…そういうわけじゃないけど」 彼の顔を正面から見返せずに曖昧に濁してとりあえず手許のグラスの水を飲む。そんな煮え切らないわたしの反応をどう見たのか。彼はふと、真っ直ぐにわたしを見据えて改まった声を出した。 「…眞名実」 その少し掠れた低い声に身体の変なとこがぎゅんとなる。やっぱりわたし、おかしい。…かも。 「眞名実。…顔上げて。こっち見て」 「やです」 そんなこと正面から言われて。向き直れるわけないだろ。二人とも食べ終わったしお皿片付けなきゃ。目線を合わせないまま立ち上がろうとしたのを察して機先を制して手を伸ばし、わたしの片手をそっとテーブルの上に押さえ込んだ。     
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