第22章 自分の足で立ち上がる

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その手のひらの少しごつい感触にどぎまぎせずにいられない。可愛い顔に似合わない節のある骨ばった大きな手。この手が今までわたしに何してきたか。しっかり身体は覚えてるもん…。 「眞名実。言いたいことあるならちゃんと、口にした方がいい。溜め込むと身体に悪いよ」 そんなこと言われても。柔らかい口調で重ねて尋ねてくる。 「…僕から言おうか?」 闇雲に頭を振って拒んだ。ここは。…わたしから、何か言わないと。 最後まで受け身のままは嫌。 思いきって早口でひと息に言い切る。 「あの。…今日神野くん、どうしても帰らなきゃ駄目?」 「は」 ぽかん、とした声出すな。結構勇気を奮ったのに。何なのその間抜けな反応。 「急にだとお家の方、心配するから…、無理か。でもあの。外は寒いし。今から帰るのも面倒…かな、と。だから、もし神野くんが嫌じゃなければ。…泊まってく?」 一瞬沈黙が走る。いたたまれず言わなくていいことまで口走った。 「あの、やなら。…別に何もしなくていいよ。ただ…、一緒に眠るだけ、とかは。それでも、無理?」 「…無理。それは」 電光石火、とはこのことか。 と思うくらい、あっという間に彼はわたしのそばに来た。テーブルの向こうから回って来た感じがしないくらい。テーブルの上に手をついて座ったままのわたしに顔を寄せ、覗き込む。表情の奥に潜むものを確かめたい、と言わんばかりに。     
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