第22章 自分の足で立ち上がる

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わたしの心は悲しみに満ちていたけど、そのことはおくびにも出さない。そっと手を伸ばして彼の滑らかな頬に触れる。神々しいくらい綺麗な男の子だな。間近に見てもつくづく心の底からそう思える。 ほんとはずっとこうしていたい。 ようやく安心させるような、穏やかな声を絞り出せる。わたしは笑顔を作って彼に語りかけた。 「わたしにとって、神野くんは特別なひとだよ。他の誰とも違う。流されるばっかりで何にも抵抗しなくて、いい加減で投げやりだった。こんなわたしを軽蔑しないで、でももっとしっかり自分の意思を持って行動できるはずだって叱咤してくれた。今までみんなに気を遣われて甘やかされて、なんとなくこのままでいいような気がしてたの。どうせわたしの周りの人たちを思うように変えたりできない。だったら自分が周りに合わせて適応した方が楽だって…。そんなずぼらな狡い考えを打ち破ってくれた」 わたしに頬を撫でられながら彼は苦笑してその手に自分の手を重ねる。 「それは…。ごめん。君のすることがこっちの考えと違ってるからってすぐ苛々したりして。自分の感情押しつけたみたいになって」     
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