小さな幸せ

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「それならどこかでご飯でも食べながら、話の続きでもしませんか。あなたが嫌いじゃないならお酒でも飲みながらどうですか」 「それいいですね。ここから少し歩いたところに日本酒がおいしいお店があるんですけどどうですか」 男の提案にすぐさま肯定の意思を示す。それを見て満足した男が案内をはじめて、公園を出て行く。さっきまで二人眺めていた夕日を背にして次の目的地に向かう。 きっと今日という日が過ぎたらまた互いの悩みに苛まれる日々が戻ってくるのだろう。今は気分がよいが、問題の本質は何も解決していないから当然の話である。 けどこれは何も僕たち二人に限った話ではない。平然と暮らしている人たちにもそれぞれ大なり小なりの悩みがあり、同じように頭を抱えているのだろう。そしてそうした悩みに突き当たったときは、今日みたいな現実逃避をしているのだろう。 僕たちから本当に悩みがなくなる日はないのだと思う。それでもこういった小さな幸せを積み重ねながら、毎日を生きていくのだろう。
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