第1章

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 小川結衣の家で飼われているウェルシュ・コーギーのコロと猫のナナが、窓辺で日向ぼっこをしている時だった。 「引継ぎをしなきゃいけないね」 ナナはコロに突然言った。ナナが身に着けている赤い首輪の鈴がチリンと鳴る。 「え? 引継ぎ?」  コロは何の事か分からず、気の抜けた声で尋ねた。ナナは少し呆れた顔で口を開いた。 「あんたに猫の作法を教えるんだよ」 「えっ? 何で犬の僕が覚えるの?」 「決まっているじゃない。ご主人の家に新しい猫が来たら、あんたが色々と教えるんだよ」 「それはナナの役目なんじゃ……、痛い!!」 ナナの猫パンチがコロの鼻にヒットする。 「生意気な事言うんじゃないよ。それじゃあ今日からでも始めるかね。時間もそう無いから」 ナナが首輪の鈴をチリンと鳴らし、意地悪く笑った。
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