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小川結衣の家で飼われているウェルシュ・コーギーのコロと猫のナナが、窓辺で日向ぼっこをしている時だった。
「引継ぎをしなきゃいけないね」
ナナはコロに突然言った。ナナが身に着けている赤い首輪の鈴がチリンと鳴る。
「え? 引継ぎ?」
コロは何の事か分からず、気の抜けた声で尋ねた。ナナは少し呆れた顔で口を開いた。
「あんたに猫の作法を教えるんだよ」
「えっ? 何で犬の僕が覚えるの?」
「決まっているじゃない。ご主人の家に新しい猫が来たら、あんたが色々と教えるんだよ」
「それはナナの役目なんじゃ……、痛い!!」
ナナの猫パンチがコロの鼻にヒットする。
「生意気な事言うんじゃないよ。それじゃあ今日からでも始めるかね。時間もそう無いから」
ナナが首輪の鈴をチリンと鳴らし、意地悪く笑った。
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