19.提案

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19.提案

“ところで、結局これから「源五郎のイクメンブログ」はどうされるつもりなんですか?実は私にちょっと考えがあるんですが――”  伊庭さんがそう切り出した。  私は正直、男女逆転の嘘がバレて大炎上してしまったブログとSNSの扱いに困っている。果たしてこういう時にはしおらしく謝罪をした方がいいのか、逆にふてぶてしく開き直ればいいのか、それとも無視して今までどおり淡々と日常を書き続ければいいのか。  そこで、今のところブログには何も書き込まず放置しているのだけど、それがまた源五郎を敵視する人たちの間で “源五郎、嘘がバレて逃走www” “嘘だらけの害悪はこのまま消え去ってほしい” などと勢いづかせてしまっている。私は答えた。 “ブログはもう、どうでもいいですね。消しても続けても、どちらでもいいです”  もともと私にとっての源五郎は、ほんの出来心で始めた「人知れずこっそり男装して、誰にも見られない空間で大声で歌って踊ってストレスを解消する一人カラオケボックス」にすぎない。  それが、自分の男装姿が意外とハマッてたことに調子に乗ってしまい、ちょっとだけ他の人に見せてみたいなという変な色気を出したばっかりに、事の成り行きで美男子コンテストに出場させられ、それでうっかり優勝して有名人になってしまったようなものだ。  そこに「男女の不平等をなくそう」みたいな素晴らしい理想はないし、私はただ、自分にとって面白かったらブログを書くし、面白くなくなったらやめる。ただそれだけのことだ。 “じゃぁそのブログ、僕にくれませんか?” “は???” “そのブログの続き、僕にやらせてくださいよ”
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