わたしのイクメンブログ

２．イクメンブログ

「ありがとうございます！より素敵なイクメンになれるように頑張ります！」

　この言葉に私はついカッとなって、スマホの画面に向かって独りで毒づいてしまった。

　「より素敵なイクメン」じゃねぇよお前はよ！お前は自分が素敵な人間になるために子育てしてんのか？違うでしょ！子供に幸せになってほしいから子育てをやるんでしょうが！

　確かに、子育てを通じて自分も成長するという面はあるけどさ。それはあくまでオマケであって、自分の成長のために子育てをやるなんてのはさ、オマケのシール欲しさにお菓子を買う子供みたいなもんじゃないの？

　それも、目的が自分自身の心の成長だったら、まだ私も仕方ないかなって思う面もあるよ。よりによって目指すものが「より素敵なイクメン」って何よ。

　……それ、絶対に周囲の人に褒められたくてやってるよね？「俺イクメンでしょ？素敵でしょ？」って他人にアピールするネタ作りのために子育てしてるよね？

　もう、ホンッッット薄っぺらい男だわこいつ。

　昔から何となく嫌な予感がしていた夫の薄っぺらさが、私の中で決定的な形の失望になって、目の前にはっきりと現れてきたのを私は感じていた。

　その時から私の「ARIONEのイクメンブログ」を見る目は１８０度変わってしまった。

　もう、書かれた文章の意味を素直に受け取ることができない。今まで何とも思わなかったイクメンブログが、急に私のイライラを掻き立てる目障りな存在になっていった。