3.しかたがない

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 絶滅危惧種とまではいかないけど、結構もう少数派になりつつあるんじゃないの?  それをなんか誇らしげに言われてもさ。ハイハイそうですかありがとうねとしか私は思わないよ。ホント鬼嫁だよね私は。  そして今日も夫はせっせと自分のイクメンぶりをブログで紹介している。やれ子供を風呂に入れたら背が伸びてて嬉しかった、やれ娘が歯磨きを嫌がって本当に大変だ、と文章に書かれた父と子供の光景は、私が読んでも本当にほほえましい。  ただ、その何ということはない記事は自動的に 「自分は父親だけど子供を風呂にも入れてるし、子供の歯磨きもやっている」 というアピールでもある。そしてそれは同時に、 「妻である私は、子供を風呂に入れる作業も歯磨きの作業も夫に手伝えてもらえている」 ってことを世間に発信している、ということでもある。  ネット空間なんて、やっかみと曲解の宝庫だ。夫のブログの記事を読んで「この奥さんは夫をこき使っているろくでもない女だ」みたいなトンデモ解釈する人だって、少数だろうけど確実にいるだろう。  そこのところ、夫は自覚して書いているのか、自覚せず書いているのか。  自覚してたら厄介だし、自覚してなくても厄介だ。  今日、夫は夜遅くに飲み会から酔っ払って帰ってきて、さっさと一人でお風呂に入ると早々に寝てしまった。私はその寝息を聞きながら、普段はだいたい夫がやってくれている食器洗いを粛々と片付けた。  私は幸せ者。旦那がイクメンで、他の人と比べたら子育てもずっと楽してる幸せ者。
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