ーよんー

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「その、(おも)かった……だろ?」 「ふん。おまえみてえなちっせーの、(おも)くなんかねえよ」 「……ごめん。()()ばしたりとか……して」 「まったくだぜ」 「で、でも……っ。あれはあんただって(わる)いっていうか……そんな格好(かっこう)で、あ、あんなこと……してるから、僕だっていろいろ……その、勘違(かんちが)いして……」  ()()ずかしい()(わけ)をしどろもどろに(なら)べると、()(ざき)()(げん)(おも)()ちで立ち上がった。 「勘違(かんちが)い? 勘違(かんちが)いって、なんだよ?」 「だ……から、ええと、その……」  やましい部分を(つつ)かれて、なんと答えていいのやら(くち)()もる。 「うぜえ。さっさと言え」  僕は羞恥を(こら)えつつ、視線を(およ)がせぼそぼそ言った。 「キス……以外に、もっと、ヘンなこと……とか」  すると()(ざき)はぽかんとした表情で、僕の顔をしげしげとながめ見た。 「……おまえ、俺のことからかってんのか?」  (あわ)てて首を左右に()る。とたん、()(ざき)(まゆ)(いぶか)しく中央へ()った。 「だってよ。おまえの言ってるヘンなことって、セックスしたか、ってことじゃねえの?」  (けっ)して、(うたが)っているわけではない。けれど絶対とも言いきれない……。
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