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「その、重かった……だろ?」
「ふん。おまえみてえなちっせーの、重くなんかねえよ」
「……ごめん。突き飛ばしたりとか……して」
「まったくだぜ」
「で、でも……っ。あれはあんただって悪いっていうか……そんな格好で、あ、あんなこと……してるから、僕だっていろいろ……その、勘違いして……」
気恥ずかしい言い訳をしどろもどろに並べると、木崎が怪訝な面持ちで立ち上がった。
「勘違い? 勘違いって、なんだよ?」
「だ……から、ええと、その……」
やましい部分を突かれて、なんと答えていいのやら口籠もる。
「うぜえ。さっさと言え」
僕は羞恥を堪えつつ、視線を泳がせぼそぼそ言った。
「キス……以外に、もっと、ヘンなこと……とか」
すると木崎はぽかんとした表情で、僕の顔をしげしげとながめ見た。
「……おまえ、俺のことからかってんのか?」
慌てて首を左右に振る。とたん、木崎の眉が訝しく中央へ寄った。
「だってよ。おまえの言ってるヘンなことって、セックスしたか、ってことじゃねえの?」
決して、疑っているわけではない。けれど絶対とも言いきれない……。
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