愛に呑まれる

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女はしばらくはなんの気力もわかなかった。一方的に別れを告げられて自分ではどうすることも出来なかった。心の中にはもう埋めることは出来るのかどうかもわからない大きな穴が空いている。それは日を増すことに大きくなっていく。 愛が欲しい。幸せが欲しい。暖かさでどうか私を満たしてほしい。 女はいつしかそんなことを願うようになっていた。 女は、しばらくして仕事に就いた。元々一般企業の事務の仕事をしていたのだが、女は誰からも信用されるような人だったのか今回のことを聞いて戻ってこいという話がかかったのだ。女は断る理由もなく、再びその仕事に専念することにした。 前の人と結婚したのは三年前だからここで働くのも三年ぶりになるのか。会社の見た目こそもちろん変わっていなかったものの、中身は変わっていた。今まで指導していた部下達は立派に成長を遂げいつの間にか自分の知らない誰かまで入社していて…… 女は、時間の流れというものを感じさせられた。 それから数ヶ月後、仕事にもなれた女は再び最前線として仕事の成果を上げていた。そんな彼女には最近一人の男がつきまとっている。それは彼女とは違う部署のものの、どこかでふたりがかかわり合うことがあり、それをきっかけに男が彼女を好きになってただいま猛アピール中というわけらしい。が、女は彼と付き合うことにあまり気乗りはしていないようだった。 なんせ彼女はつい何か月前かにかつて愛していた人に愛人を作られて別れさせられたばかりな上に、今つきまとっているその相手は自分よりもいくつか年下である。
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