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そこで彼女は閃いた。幸い、彼は自分が一度離婚経験があると知らない。なのでこの際すべて言ってしまって彼を突き放そうとしたのだ。
だけど結果はそううまくいかなかった。
「僕はあなたが一度離婚したことがあろうがなかろうがそんなこと関係ないくらいにあなたを好きで、愛しているんです。僕じゃダメでしょうか」
女はびっくりしたと同時にもう何でもいいかもしれない。と一つ笑みを零した。幸せになりたいと願っていたのはこの自分ではないか。この人と一緒に幸せになるのも悪くないのかもしれない。
そうして、また再び彼女は付き合い始めた。相手がいくつか年下だったから世話をやくはめになったことも何度かあるもののそれさえもいとおしく思えて、女は前とはまた違う幸福感を味わっていた。
しばらくして二人はさらに距離を縮め同棲することになった。前の人は仕事で忙しかったからご飯の時も気を使って話すことが出来なかったけれど今は違う。むしろ彼の方から率先的に今日あった楽しかったことを話してくれるのだ。彼女はそれが嬉しくて、毎日が楽しかった。
どうしよう、私今とっても幸せだ。
彼女は前に空いてしまった塞がりそうもない大きな穴を彼の愛でどんどん埋めていってそして、幸せに満たされていた。そんな生活がいつまでも続くと彼女は確信していた。
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